
海中道路にほど近い海沿いの集落・照間地区は、
沖縄を代表するビーグ(い草)の一大産地。
田んぼにそよぐ潮風と、沖縄特有の強い陽射しのおかげもあり、
農薬をほとんど使用せずにスクスクとビーグが育つのです。
照間のビーグの素晴らしさは、近頃各方面から注目されるようになり、
今まで利用されていた畳など「住」に加えて、
「衣」「食」の分野でも活用が進んでいます。
中でも、「食」の分野では、栄養食材として脚光を浴び始めたこともあり、
パウダーにしたビーグを使ったスイーツが、
地域商品としてうるま市内で数多く作られるようになりました。

たとえば、「うるまグラノーラ『沖縄県産『ビーグ』と南国フルーツ』」は、
身体にいいものを美味しくいただけると評判です。
ビタミンB、葉酸、カロチン等のビタミン類や
カリウム、マグネシウム、鉄といったミネラル分が豊かなドラゴンフルーツと、
有機栽培のパイナップルとマンゴーのドライフルーツをブレンドし、
食べやすく仕上がっています。
牛乳をかけて、ヨーグルトにトッピングして、サラダにまぶして手軽に味わえ、
クッキーやケーキ作りにも使うことができます。

作り手はEarth in the Boxの林丈太朗さん。
「食物繊維がたっぷりでビタミン、ミネラルも豊富な栄養食材が、
自分が住んでいる身近なところで生産されている」と知り、
ぜひ取り入れたいと考えたのだとか。
子どもができてから動物性の原料を使用しないヴィーガンへの関心が芽生え、
食を通じた健康や食の安心安全を意識するようになったといいます。
そんな林さんが作るグラノーラやバターサンド、ホールケーキは
県外からも注目されています。
林さんのグラノーラは、現在、うるま市の「hinata cafe」で購入ができます。

続いては、今年8年目を迎える人気カフェ「hinata cafe」の「照間ビーグチーズケーキ」。
ほんのりとしたビーグの香りが爽やかで好印象。
濃厚なチーズケーキで、ビーグとチーズのマリアージュを楽しめます。
ビーグパウダーがブレンドされたチーズケーキ、プレーンタイプのチーズケーキ、
タルトの三層で、見ためも爽やか。コクのある味わいで紅茶や緑茶によく合います。
女性に嬉しい食べきりサイズなのでお腹にも優しく、食後のデザートにピッタリです。

「『い草の香りが心地良いですね』って、本土からのお客様にも評判です。
『これを食べに来たんですよ』と言ってくださる方もいらっしゃいます」と、
笑顔いっぱいの安慶名和香さん。
「ビーグは新しい食材で、私自身、『食べられる』ということを
最近まで知らなかったんですけど、その栄養価にびっくりです」と絶賛。
個性が強い食材でもあり、口当たりや風味をベストな状態にもっていくまで
試行錯誤を繰り返したそうです。
だからこそ完成したものへの愛着もひとしおなのでしょうね。

そしてこちらは、隠れ家のようなレストランBBRの洋菓子部門、
パティスリーRの焼菓子です。
サブレやスノーボール、カステラからクグロフまでバリエーション豊か。
お菓子の個性に応じてビーグパウダーが絶妙な割合でブレンドされていて、
ビーグの爽やかな風味を楽しめます。
中でもおすすめなのが、「照間の食べる畳4畳半」。
キャッチーなネーミングと大胆な形、そして、風味のよさが人気の理由。
その他、ロールケーキシフォンケーキなども好評です。

「14年前にオープンした時から、
地元の食材で美味しいものを提供したいと取り組んできました。
魚は市内の漁港に水揚げされたものを、野菜は地域のもの使うようにしています」
と、シェフの瑞慶覧さん。
店の近くにもビーグの苗を栽培している田んぼがあり、
ずっと気になっていたというビーグですが、
実はビーグパウダーが開発される前からチャレンジしたことがあったのだとか。
「パウダーが登場したことで、用途が広がってこれからも楽しみです」。
そう語る瑞慶覧さんが、もうすぐ商品化するのが練りバター。
熱を加えれば加えるほど香りが飛んでしまうというビーグの性質をふまえ、
思いついたのが熱を加えないビーグの活用法。
香りの良さをより一層楽しめる商品として期待されています。
今回ご紹介させていただいたのはビーグを使った食べものの一部です。
他にも魅力的な商品がありますので、ぜひお試しください。