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9月のある土曜日。

ロングライフデザインのパイオニア・ナガオカケンメイさんを迎えた、

トークイベントとワークショップがうるま市で開催されました。

第二の大型連休で世間が賑わっていたシルバーウィーク初日にもかかわらず、

学生さんから会社の社長さんまで、うるま市内外から多くの方々が参加しました。

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トークイベントは「ロングライフデザインの視点から、うるま市のデザインを考える」がテーマ。

日本の伝統工芸や地場産業を紹介する「NIPPON VISION」、

60年代の企業の素晴らしい商品を見つめ直した「60VISION」など、

ケンメイさんがこれまでに携わったデザインプロジェクトを紹介。

ケンメイさんは、“デザイン感覚で日本を紹介する観光ガイド”をコンセプトに、

47都道府県の観光ガイドブック「d design travel」シリーズを生み出しました。

そして、今回、特別編集号として「d design travel URUMA」を製作することになります。

沖縄県版はすでに発行されている「d design travel」ですが、県内市町村版として創り上げていくことは初の試み。

編集者は、全員一般の人。3回のワークショップを経て、デザイン目線で編集したガイドブックに仕上げます。

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SIGHTS、RESTAURANTS、CAFES、SHOPS、HOTELS、PEOPLEの6つのカテゴリーでうるま市を掘り起こします。

「必ず“感動したもの”を取材する」「自分の言葉で書く」

ケンメイさんの端的なアドバイスに、受講者の目つきが変わっていくのが分かります。

質問タイムでは、何人もの人が挙手を。もう、時間が押しちゃうほど聞きたいことがたくさん!って感じ。

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ケンメイさんは、その一つひとつの質問に優しく丁寧な口調で答えます。

「よそのマネをするのではなく、自分たちの土地にあるものに目を向けましょう」

「デザインとは、奇抜のものではなく、やりすぎていない、ギトギトしていないことです」と、

まるで物腰柔らかな学校の先生のように、参加者の迷いを解き、導いていきます。

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さあ、トークイベントの後は、全員参加型ワークショップ!

SIGHTS、RESTAURANTS、CAFES、SHOPS、HOTELS、PEOPLEに区別された6つのテーブルへ自由に移動。

「はじめまして、こんにちは」と初対面の人同士で、うるま市についてざっくばらんに語り合います。

「なぜ、そのスポットを選んだのか」「なぜ、その人物が魅力的なのか」…

それぞれのカテゴリーに沿った、自分が考えるうるま市ならではのトラベルスポットを、

デザイン的視点でメンバーに提案し、候補に選んだ理由をプレゼンします。

一人ずつ提案を行って、各カテゴリー候補2つまでに絞り込んでいく。

 

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RESTAURANTSのテーブルでは、「沖縄の食材や器を使っている」など、人につい教えたくなるレストランを吟味。

揚げてびちが美味しいお店だよね、あのお店は昔ながらの商店街の近くだよね…と、

うるま市をよく知っているからこそのコメントが飛び交います。

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SIGHTSのチームは、数多くあるうるま市の魅力的なスポットの中から2つに絞り込まなければなりません。

「あ、ここだ!」とみんなが思うものをチョイス。

主観的な個人の考えに客観的感覚が入り混じるので、女性も男性も、おじさんも真剣そのもの!

メーン

自分が思う魅力的なトラベルスポットを書き込んだ、黄色いハンカチならぬ“黄色い付せん紙”がこんなにいっぱいに!

この中から、2つに絞るのは大変ですね…。

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おや、このチームは多数決ですか?

確かに、シンプルで最も早く結論がでる方法ですね。

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各テーブルの様子を、ニヤニヤと見守るケンメイさん。

興味深げに覗き込んで、様子を伺っていました。何だか楽しそう!

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最後は、各カテゴリーで決まったうるま市の2つのトラベルスポットを発表。

SHOPSチームからは、

“うるまのデパート”こと沖縄アイテムがなんでもそろうホームセンターと、

近所のおじぃやおばぁの体調までも把握している地域の商店に絞り込みました。

ほかに、PEOPLEチームは、海中道路近くで伝統的漁法でタコをとっている“タコとり名人”、

平安座島(へんざじま)で昔から親しまれているポーポー(小麦粉を使ったおやつ)を作る“平安座ポーポー名人”が挙げられました。

初対面から始まったワークショップでしたが、うるま市のことを本気で考えていく中、いつしか会場は白熱した雰囲気に。

市内在住の女性は「いつも何気なく過ごしている地域を、デザインという観点から考えたことがなかった」と勉強になった様子。

また、市外から参加した女性は「市外の人間だからこそ気づく、うるま市の魅力があると思う。

今回参加して、さらにうるま市に興味を持ちました」と、何かを発見したようにイキイキとした表情でした。

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「d design travel」発行人で指南役のケンメイさん。

うるま市を訪れるのは今回で4回目。うるま市名物の闘牛を見ることをとても楽しみにしているそうです。

「最近知ったけど、うるま市には伝統的なエイサーもあるんだよね。それも見てみたい」と興味津々。

「沖縄の人々は、戦前、戦後と移りゆく時代に順応している。そこが本当に素晴らしい」と、思い入れも深いのです。

「d design travel URUMA」の編集に携わる参加者たちへ。

「個性を見つめる良い機会。自らの地域をもっと良く知ってほしいです。そのことで価値観の安定につながりますよ」

と応援コメントをいただきました。

3回のワークショップを経て、自分たちの地域をデザイン目線で考え、取材し、原稿を書き上げます。

うるまの魅力が詰まった、これまでにない観光ガイドブック「d design travel URUMA」は、2016年3月に発刊予定。

“うるまらしさ”をデザインする。新しい観光ガイドブック製作プロジェクト始動

d design travel WORKSHOP URUMA

会場/いちゅい具志川じんぶん館

d travel URUMA 沖縄事務局/080-1773-9140(月~土 10:00~18:00)

MAIL/dwuruma@gmail.com

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