「ノスタルジック」と聞いて、どんなイメージを抱くでしょうか?

「懐かしさ」を連想して「癒し」につながる、そんな方も多いようです。

今回はそんな「癒し」を求めて、いざ、タイムスリップ!

タイムスリップの入口は、平安名南西部・比殿原(ひどぅんばる)、

嘉慶奈久(かげなく)の断崖を掘削した農道「ワイトゥイ」です。

正式には「比殿(ヒドゥン)農道」ですが、

“割って取った”という意味で「ワイトゥイ」と呼ばれています。

昔からこの地区の人々は急な崖の山道を上り下りしていました。

村人はその苦難を解消しようと、立ち上がります。

1932(昭和7)年から1935(昭和10)年にかけて

当時のトゥングェー(金鍬)や、カニガラ(石割棒)などを使って切り開き、

横断農道を開通させたそうです。

岩壁が両側にそびえ立つ風景は、なんとも圧巻!

 

崖の上に目をやると岩にがっしりと根を張った巨大なガジュマルが。

悠久の時の流れを感じることができる神秘的な光景が広がります。

長さ約150m、最も高いところで20mというにもなる断崖は、車と比べてみるとこのスケール感!

当時の人々が苦労して切り開いたワイトゥイは、

現在も人々が頻繁に利用し、生活に欠かせない大切な道となっています。

続いては…勝連内間にある「ガーラ矼(ばし)」へ。

一見何の変哲もない橋ですが…

脇の階段を下りてみると…

生い茂る緑の中に、アーチ状の美しい石橋が姿を現します。

与那城尋常高等小学校に通う子どもたちの通学路として、

1928(昭和3)年に山林を切り開いて建設されました。

それ以前は木の橋で、大雨が降ると流されてしまうという危険な状態にあったため、

子どもたちの安全性を考えて建設されました。

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高さ5m、幅2m、長さ5mの石矼は、

その上を車や人が通って重圧をかけるほどにしまっていき、

ますます頑丈になるという仕掛け。

その造りの素晴らしさで建築研究者からも注目されているそうです。

こんなところにも旧人の知恵が! すごいですね。

お次は、平敷屋にある小さな丘「平敷屋タキノー」にも足を運んでみましょう。

標高70mほどの小さな丘ですが、

1727(享保12)年に村の地頭・平敷屋朝敏(へしきや・ちょうびん)が

水不足に悩む農民のためにため池を掘り、

その際に掘り出した土を盛り上げて丘を築いたといわれています。

それで頂上近くに、平敷屋朝敏の歌碑と碑文があるのですね。

 勝連半島から太平洋を見渡せる景勝地としても知られていて、

米軍施設ホワイトビーチが眼下にあり、太平洋を一望できます。

平安座島(へんざじま)、津堅島(つけんじま)などうるま市の離島のほか、

遠くは知念半島を眺めることもできる絶景スポット!

晴れた日には夕陽スポットとしてもおススメです。

平敷屋タキノーから少し坂道を下ると…

突然目の前にレンガ造りの煙突が現れます。

国の登録指定文化財・平敷屋製糖工場跡です。

鮮やかな赤レンガと周辺の緑のコントラストが美しく、思わず足を止めてしまいますね。

平敷屋製糖工場は1940(昭和15)年に

勝連平敷屋地域にある11組の旧サーターヤー組(製糖業者)が

合併して新設された共同製糖工場です。

1944(昭和19)年の十・十空襲以降、工場は操業できず、

当時は3基の煙突が立っていましたが、2基は米軍の攻撃で破壊されました。

表面には沖縄戦の激しさと悲しさを物語る銃痕が残り、

今も静かにその歴史を伝えている煙突。

半世紀以上も勝連半島を見守ってきたその姿からは、

どこか懐かしくも切ない郷愁が漂っております。

いつまでも大切にしていきたい風景がここにもありました。

勝連半島には、先人たちの想いと歴史に触れることができる場所が

至る所に佇んでいます。

時の流れに身を委ね、 “タイムスリップドライブ”楽しんでください。

実は、取材当日は雨でした。その雨が、それぞれの場所に生える苔を青々と光らせ、

一転、異空間を演出する小道具に!

それもまた、乙です。

ワイトゥイ

所在地/沖縄県うるま市勝連平安

地図はコチラ→https://goo.gl/maps/874qCNzYZmx

ガーラ矼

所在地/沖縄県うるま市内間

地図はコチラ→https://goo.gl/maps/w5dxZDY2K572

平敷屋タキノ―

所在地/沖縄県うるま市勝連平敷屋3483

地図はコチラ→https://goo.gl/maps/HjzHtboeY3L2

平敷屋製糖工場跡

所在地/沖縄県うるま市勝連平敷屋

地図はコチラ→https://goo.gl/maps/b7EZ6mPN6M62

 

目指すは勝連半島。いざ、タイムスリップドライブへ…