メーン

2000年に世界遺産登録された勝連城跡。

自然の断崖を利用し、難攻不落の城と言われていました。

その城壁のカーブからは、天女の羽衣のような優美さを感じることができます。

今年で4回目となる「ぐしく島唄あしび」。

城壁の下にある毛(モウ。沖縄の言葉で『広場』の意)に、青年団や琉球舞踊の踊り手たちが集います。

この日は満月と重なったこともあり、民謡、舞踊、地元の特産品、そして中秋の名月を一度に楽しめる贅沢な祭りとなりました。

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祭りの幕開けを飾るのは、平安名(へんな)青年会によるエイサー。

最初に踊ったのは、出演者全員が道化師役・チョンダラーに扮するというめずらしいスタイル。

旗頭に酒樽を持ったチョンダラーと、小さな手持ち太鼓・パーランクーを鳴らす青年隊、手踊りの女性たちが舞台に次々に登場します。

なによりも素敵なのは、観客との距離がまったくないこと。

エイサーだけでなく、演者たちも積極的に観客に声を掛け、手拍子の掛け合いやお囃子の言葉のやりとりを楽しみます。

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演者と観客のやり取りだけでなく、演者同士のやりとりがあるのも、ぐしく島唄あしびの魅力。

出演者同士の競演が多く見られるのですが、実は最初からペアが組まれているのではなく、

控室で「自分の演奏が終わったから、太鼓を手伝わせてください」などというやり取りが行われているそう。

ゆいまーる(沖縄の言葉で『助け合い』の意)があまりにも自然に行われていることに、心が和みます。

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そして、忘れてはならないのが、祭りを支えている地元・うるま市の人々。

うるま市観光物産協会の仲村伊由さんは「世界遺産を借りるということで大変だった」と

祭りの準備を振り返りますが、その表情は終始にこやか。

「勝連城という特別な場所で、地元の方と一緒になって祭りができるということに価値を見出していきたいんです。

祭りが始まってから、お客様が家に帰るまでがイベント。気を抜かずにやっていきたいです」と話し、

言葉の端々からうるま市と地元の人々への深い愛情が感じられました。

地元・うるま市の特産品が並ぶ出店にも、地元への愛情があふれています。

「出店しているのはうるま市観光物産協会で、テント内のスタッフはボランティアなんですよ」と話したのは、崎山酒造厰の崎山朝啓常務。

甕に入った泡盛を柄杓で量り売りするという、おしゃれなスタイルで「松藤」を提供していました。

特産品の黄金芋を使った「黄金ちゃんまんじゅう」や「津堅にんじんのクッキー」など、

「今年はよく売れているんです。認知度が高まってきて嬉しい」と、

笑顔で特産品を紹介するのはうるま市観光物産協会の下地さん(左)。

沖縄の原種トウガラシで作った「島ネロ」など、じわじわ人気が高まっている商品などを紹介した後、

「これまでに人気があったものも、新しいものもどんどん織り交ぜて、

回を重ねるごとに売店もパワーアップしたい!」と、意気込みも十分!

雨雲はすっかり消え、満月とともに星まで姿を見せるほどになった唄あしびは、

演者・観客すべてが一緒に踊るカチャーシーで幕を閉じました。

昔は月明かりに三線だけで行われていた唄あしび。城壁へのライトアップや音響を使った現代版として蘇った唄あしびは、

うるま市を愛する人々の手で、これからもずっと守り伝えられていくことでしょう。

地元の人の愛であふれる、世界遺産・勝連城跡の「ぐしく島唄あしび」

「ぐしく島唄あしび」

所在地/世界遺産勝連城跡

電話/098-978-0077(うるま市観光物産協会)

※毎年夏に開催予定