今年で6年目を迎えるうるま市のアートイベント「イチハナリアートプロジェクト+3」が、

今年も11月18日(土)~12月3日(日)まで開催されます。

海中道路を渡ると広がるのは、今も沖縄の原風景が色濃く残る島々。

中でも一番離れた場所にある伊計島は、古くから「イチハナリ」と呼ばれていました。

その島で産声を上げたアートによる島おこし「イチハナリアートプロジェクト+3」は、

伊計島・宮城島・浜比嘉島・平安座島(へんざじま)とそのエリアを広げ、

それぞれの島の文化とアートを同時に体験できるイベントとして、年々訪れる人が増えています。

今回は、沖縄をはじめ、台湾、インドネシアなど国内外から約40組のアーティストが参加。

「島の記憶」をテーマに、絵画、彫刻、工芸、写真、映像など約60点のアート作品で島々を彩ります。

今回の新たな取り組みは、島の子供たちのアート活動への参加。

平安座島のうるま市立彩橋(あやはし)小中学校の生徒が「島おこしプロジェクト」として、

2012年に廃校となった宮城島の旧宮城中学校に展示する版画制作に取り組むことになりました。

事前学習のため、県出身の版画家・名嘉睦稔さんのワークショップに参加。

「描こうとする対象が持っている“気持ち“を写し取ろうとしている」、

という睦稔さんの言葉に耳を傾けて熱心にメモを取る子供たち。

これからの作品制作へのヒントを掴んだようでした。

その約2週間後に力を合わせて制作した“ひまわり”の版画が完成。

「自分たちの作品も会場に展示して島おこしをしたい」という生徒20人の島への想いが込められた

元気いっぱいのひまわりがひとつの大作となり、イチハナリアートプロジェクトを盛り上げます。

ほか、かつて歌われ続けてきた校歌をモチーフにした切り紙アートや、チョークで描いた島の風景、

3万枚のポストカードを校舎内に張り巡らせた集合絵画などで旧宮城中学校を装飾。

さまざまなアートに包まれ、廃校となった校舎も命を吹き込まれたように蘇ります。

こちらは、台湾のアーティスト・陳于安(アグア)さんがペイントした伊計ビーチの宿泊施設です。

これまでに3度、伊計島を訪れた陳さんは、太陽、植物、魚がこの島の象徴だと感じて壁画で表現。

いつまでもこの“島の風景を記憶に”とどめていてほしい」という思いが込められています。

こちらの古民家では今年(2017年)の5月に移住したアーティスト・東将寛(ひがし・まさひろ)さんが、

島の日常風景をテーマにした映像作品を上映。

「古民家の外から聞こえる鳥の声や風の音が映像とリンクすることがあり、

とても良いシチュエーションが作れました」と東さん。島に対する愛情が伝わってきます。

島を歩くと、木陰に手作りのベンチが置かれるなど、まさに、日常とアートがさりげなく同居をしていますね。

些細な芸術に気づけたら、アートに対する感度が高まっている証拠です。

イベントを主催するうるま市観光物産協会の町田佳子さんは、

「島の景色や、海の音、風の音などを感じられることが一般的な美術館や博物館とは違うところ。

島に散りばめられた数々のアートを、宝物を探すように鑑賞してほしい」と楽しみ方を教えてくれました。

期間中は、アーティストによるワークショップやイベントも開催され、作品に込められた想いをより深く感じることができます。

残して行きたい・変わらないでほしいと思う風景と、島の記憶に、そして、訪れた人々の記憶にも刻まれる作品の数々に出合えるアートの祭典。

日中も過ごしやすくなった沖縄の風を感じながら、「島の記憶をたどるアートの旅」をお楽しみください。

 

 

島を思う心が“島の記憶”に繋がる「イチハナリアートプロジェクト+3」

開催日/2017年11月18日(土)~12月3日(日)

時間/10:00~17:00

場所/沖縄県うるま市伊計島・宮城島・平安座島・浜比嘉島、海中道路

入場料金/500円(島民、中学生以下無料)

電話/098-978-0077(うるま市観光物産協会 イチハナリアートプロジェクト)

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HP「うるまーる」

掲載日 2017年11月20日