うるま市の長閑な田園地帯にある神村酒造は、今年創業135年を迎えた老舗の酒造所です。

伝統があるだけでなく、木樽貯蔵の泡盛を沖縄で初めて世に送り出すなど、個性的で先進的な酒蔵として知られています。

最近では、うるま市が誇る文化の1つ・闘牛を、より多くの人に知ってもらおうと、沖縄闘牛ボトルを発売して地域おこしを積極的に後押しし、

春夏秋冬それぞれの季節限定の泡盛を開発するなど、温故知新のその動きから目が離せません。

そんな彼らの一番の人気銘柄は、「暖流30度」。沖縄がまだアメリカの統治下にあった頃、三代目が10年間研究を重ね、

バーボンの製造で使われたオーク樽で熟成し、1968年に商品化しました。

最大の個性は、ウイスキーを思わせる琥珀色と、芳ばしい香り。暖流をソーダ割りにした「暖ボール」は、泡盛の新しい世界観を切り開いていて、

うるま市や那覇市の飲食店で密かなブームを巻き起こしています。食前にはソーダ割り、食後はロックで口当たりの良さと余韻を楽しみましょう。

こちらは、6代目の神村盛行(かみむら もりゆき)さん。

うるま市観光物産協会の理事長も務めるなど、うるま市の魅力を世界に発信しようとエネルギッシュに活動しています。

11月1日の泡盛の日に合わせて今年スタートした泡盛月間にも全社をあげて積極的に参加。

社内には泡盛マイスター認定者が5人いて、力を合わせて泡盛カクテルのレシピを開発し、

若い世代や泡盛を飲んだことがない海外の方に泡盛の美味しさに触れてもらうなど、活発な動きを見せています。

伝統とトレンドの両面でキラリと光る地域資源、海・山・野原の豊かな自然が魅力のうるま市に深く根ざすのが神村酒造。

地域により一層貢献しようと、2016年、沖縄闘牛ボトルが商品化されました。

フルーツ感とナッツを思わせる芳ばしさが特徴で、お好みの濃さで水割りにして、食中酒として楽しんでみてください。

泡盛といえば、氷を浮かべた水割りで涼しげに味わうシーンが浮かんできますが、

神村酒造では今年、季節と移り変わりとともに味わえる、粋な泡盛を誕生させました。

芳醇酵母の泡盛をベースに、3年古酒をブレンドした「冬泡盛」です。

しっかりした旨みと芳しい香りが寒い冬にまさにぴったり。

おでんや煮物によく合います。まずは5:5のお湯割りで楽しんでみてください。

ちなみに、「秋泡盛」は沖縄の代表的な魚、グルクンの唐揚げや、秋刀魚の塩焼きにおすすめです。

フルーティーな香りを残すために粗濾過で仕上げるなど、

季節感を楽しむための工夫が施されているところが、季節限定泡盛の小粋さだといえるでしょう。

緑豊かな敷地内には直売所があり、泡盛の歴史と製造のプロセスをパネルやビデオで学べます。

前日までに予約をすれば、酒蔵の見学と試飲会がセットになった工場見学を楽しめます。

直売所の地下には古酒蔵があります。将来の自分に向けたメッセージや、

これから成人を迎えるご家族への想いを記した自分だけのボトルを、5年または10年預かってくれる

「地下蔵預り古酒」は沖縄旅行の思い出づくりに活用してみたいですね。

戦後の沖縄民政府の直管5工場の1つだった神村酒造。昔ながらの製法を忠実に継承する一方、

時代の流れに応じた新しい泡盛づくりにもチャレンジし続ける個性的な酒造所に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

 

 

文化が薫る酒造所から、泡盛の新しい可能性が見えてくる「神村酒造」

神村酒造

所在地/沖縄県うるま市石川嘉手苅570

電話/098-964-7628

営業時間/10:00~17:00

定休日/無休

http://kamimura-shuzo.co.jp

掲載日 2017年11月27日