1

うるま市・勝連半島から、海中道路や伊計大橋を渡った一番先にある伊計島。

周囲およそ7kmの小さな島には、透明度抜群の海や静かな集落、

黄金芋や葉タバコの畑などの景色が広がっています。

集落入口にある築年数が浅い校舎。

かつて、この学び舎は伊計小中学校として、

教室や運動場には、島の子どもたちのにぎやかな声が聞こえていました。

しかし、2012年3月、周辺離島との学校統合により創立109年目にして幕を下ろしました。

それから4年。

一度、幕を下ろした学校に、再び教育の灯火が輝き始めようとしています。

伊計島に現れる学校とは、どんな学びの場になるのでしょうか。

2

新しい学校名は「N高等学校」。

2016年4月に開校するインターネットの高校です。

登録会員数5000万人を超えるニコニコ動画の「ドワンゴ」と、

出版業界大手の「KADOKAWA」が統合した会社、カドカワ株式会社が母体となった、

学校法人角川ドワンゴ学園(設置認可申請中)が運営。

インターネット環境が整っていれば、

全国各地どこからでも、教科書会社が制作した動画を見ながらネット学習が受けられ、

レポート提出やテスト、年1回5日間のスクーリングなどを経て、

高校卒業資格を得ることができます。

また、大学受験やプログラミング、文芸小説創作など、

充実した課外授業があり、自分の興味や将来像に合わせて受講できるのが特徴です。

7

うるま市をはじめ、北海道、東京、長崎など日本各地で職場体験の場があるほか、

文化祭はニコニコ動画最大のイベント「ニコニコ超会議」がステージ。

そんな「N高等学校」が、ここ伊計島に本校を構えたのです。

かつての伊計小中学校は、すでにN高校用にリノベーション済み。

全国各地から生徒を受け入れる環境が整っています。

開校を前にちょっと覗いてみましょう!

8

校舎エントランスそばにあるフリースペース。

N高校のスクールカラーである青と白を基調としています。

3

各教室のネームプレートは、ちょっとモダンに変身。

しばらくの間眠っていた教室が、少しずつ目覚め始めています。

4

教室は壁がなく、オープンスペースでつながっています。

校舎の間取りは以前と変わりません。

旧伊計小中学校の閉校時は、小学部・中学部合わせて全校生徒はたったの13名。

1つの教室で2学年の授業が行われていました。

それが一変。

N高校開校初年度の9月から始まる4泊5日のスクーリングでは、

一度に120~240名がこの校舎で過ごします。

島内のホテルに滞在し、

通常の授業を受けた後、スクーリングの最後は沖縄についても勉強します。

 

160302NH059_DxO

5

たくさんの机と椅子が配置された教室。

生徒それぞれが、日頃からネットで授業を受けているので、

全国の同級生に初めて出会えるのがこの教室なのです。

6

教室の窓の向こうには、島ならではの田園風景が。

落ち着いた静かな環境で、生徒たちは学園生活の想い出をつくります。

9

3階にある以前の音楽室は、N高校の生徒たちが自由に使えるスペースに。

窓からは、近くの島々の岩壁や緑豊かな様子が見渡せます。

ここからの眺めは、まさに島の特等席!

11

晴れた日の屋上から望むのは、どこまでも続く南国の海と、

小さな島を包み込むような青い空の大パノラマ!

腕をひろげて、フーッと思いっきり深呼吸!

伊計の大自然が放つ“気”を身体中で感じることができます。

きっと、生徒たちもこの絶景に感動してくれることでしょう。

10

玄関に設置された大きなモニターには、伊計島を紹介する映像が映しだされます。

12

また、事務室の前にある小さな坪庭には、伊計小中学校時代から残る大切なオブジェが。

貝殻や石で描かれた伊計島の姿です。

赤いアーチが目印の伊計大橋も表現されています。

児童生徒たちが抱く、伊計島への愛情をN高等学校が引き継ぎます。

160302NH010_DxO

「N高校の“N(エヌ)”に特別な意味はないです。それぞれの“N”を考えてください。

NEWやニュートラル、ネットなどいろいろなたとえがありますが、あえて意味を持たせていません。

全員のプラットフォームになりたいので、学校に“色”をつけたくないのです」

と快活に教えてくれた関西出身の奥平校長先生。

「平均点を上げるだけの教育でいいのか。

企業側が求める人材は、決して平均的な人間ではないはずです。

社会で自立する人間をつくるのが教育の仕事」とまっすぐに語ります。

実は、奥平校長先生は、沖縄の大ファン!

学生時代には、テントを担ぎバックパッカーとして、

県内各地をくまなく旅していたそうです。

「沖縄が潜在的に持っているパワー、県外の人が持つ沖縄への憧れ感。

そして、何よりも海中道路を通った瞬間に広がるキレイな景色」

うるま市の素晴らしいロケーションと廃校にするにはもったいない校舎。

この環境があったからこそ、伊計島に本校を構えることになったのです。

「ネットでのコミュニケーションに挑戦します。

今、子どもたちは(人との)距離感が測れなくなってきています。

ネットをうまく使えば、本当の意味での親しさが見つけられる」

と、奥平校長先生はN高校が兆戦していく今後のネットの可能性を説明。

また、うるま市の皆さんへ、

「何よりもこの伊計島にしっかりと根を生やしていこうと思っています。

生徒たちにうるま市のことをよく知ってもらって、そして全国へ散っていく。

うるま市の良いところを紹介していきます。

ぜひ、我々を皆さんの仲間に入れていただきたい」

と熱く語ってくれました。

13

一度は、その役目を終えた校舎。

夢と情熱を胸に抱いたN高校の生徒たちで、

教室が再びにぎやかになる日が待ち遠しいです。

小さな島・伊計島に再び教育の明かりが灯る N高等学校

N高等学校 沖縄伊計本校

所在地/沖縄県うるま市与那城伊計224

電話/0120-0252-15 受付時間 平日9:30~20:00

※通信制高校(広域)・単位制

http://nnn.ed.jp/index.html