パン、パン…パン。

ある日の平安座島(へんざじま)で、小気味よい音が不規則に鳴り響いています。

音の発信源は、昨年末に立ち上げを表明して活動をスタートさせた「沖縄SV(エスファウ)」。

SVとは、ドイツ語で“スポーツクラブ”という意味です。

「さまざまなスポーツ競技を地域密着で行う」という理念のもと、

うるま市を拠点にした総合クラブが誕生しました。

その起点になるのが、かつて日の丸を背負い世界を相手に戦ってきた

サッカー元日本代表FW 高原直泰さん率いる「沖縄SV」。

沖縄SVには現在、元Jリーガーや沖縄県出身プレーヤー5名を含む19名が所属。

週5日以上練習に励み、週末は沖縄県3部リーグやカップ戦に出場しています。

「元からあったものではなく、一から築くことで

チームの運営や地域との関係性作りなど、いろいろと模索している段階。

順調といえば順調。ただ、まだまだ頑張らないと」と、

高原さんはチーム結成の意気込みを語ります。

沖縄SVでは、監督として牽引役を担いつつ、選手としても活躍しています。

「現役プロ選手としてプレーすることへのこだわりは今でも持っています。

ただ年齢を考えた時に先が見える状況になっている。

これからの自分の姿に変化が必要だと感じました」

かつて自身がプレーしていたドイツでは、

クラブチームを地域の人たちが支える関係性ができており、

その形を日本でも実現したいと感じていたのだそう。

そんな折、スポーツを軸に産業を生み出したいと考えていたうるま市と

その想いが合致し、沖縄SVが誕生しました。

「ただ単に沖縄にサッカーチームを作りました、というものではなく、

自分たちが活動することで地域が活性し、創られる。そんな関係性を目指して作りました。

うるま市の方々の熱意をものすごく感じたし、

サッカーが盛んな地域であることも後押しとなった」と言います。

 

また、将来設計について尋ねると、

「今ジュニアユースの選手が29名いますが、

自分たちが育てて磨きをかけ、トップチームに引き上げることが重要。

上がれない子もきっと出てくると思いますが、

サッカーだけでなはなく、先の進路を自分で見つけられる環境作りがもっと重要です。

地域に根ざし、サッカーを軸にしたさまざまな広がりから、

地域のコミュニティーになれるような存在でありたい」と強い思いを口にしました。

かつては、日の丸を背負って戦った選手から、

選手、監督、代表の三種のわらじを履き日々尽力する高原さん。

そして住民票もうるま市に移し、ウチナーンチュに。

「うるま市はのどかで静かで海が綺麗で。住み心地はいいですね。

食材も、もずくや津堅(つけん)にんじんは美味しいし。ゴーヤーや海ぶどうも食べますよ」と、

うるま暮らしにもすっかり慣れた様子。

6月19日は、

チームとして初めて優勝のタイトルがかかった

「第39回沖縄県社会人サッカー選手権大会」の決勝。

高原さんが、選手として、また、監督としてチームを鼓舞し続けた甲斐も実り、

県出身の石川和磨選手のゴールも生まれ、沖縄SVは4-0で快勝。

初の栄冠に輝くとともに、九州大会の出場権を獲得しました!

「優勝して九州大会に出場することは自分たちをアピールするいいチャンス。

これからも沖縄のために戦います!」と高原さん。

チームとしての今年の目標はまず沖縄県3部リーグの優勝。

そして、7月の九州大会を制して全国の舞台でチームの存在を発信すること。

うるま市民の想いや夢を胸に、地域に根ざし、地域とともに歩むという

沖縄SVの弛み無い挑戦の日々は続きます。

「うるま市のために…」元サッカー日本代表・高原直泰の「沖縄SV」が始動

沖縄SV株式会社

所在地/沖縄県うるま市上江洲858-1 ルミナス101

電話/098-973-2771

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掲載日 2016年6月24日