石垣に囲まれた沖縄式の古民家とフクギ並木、昔ながらの沖縄の原風景が今も色濃く残るうるま市伊計島の伊計集落。

集落の中に入ると、風のそよぐ音、遠くからは波の音が聞こえてくる、

静かで穏やかな時間が流れるこの集落に、一軒のフォトスタジオがあります。

うるま市勝連出身のアラカキヒロミツさんが、今年3月に築80年の古民家を再利用し完成させたフォトスタジオ。

海中道路を渡って連なる島々の、一番奥に位置する伊計島で、どんな撮影プランがあるのか、

またどんなお客さんがいらっしゃるのか、気になりますね。

高校を卒業すると同時に地元を離れ、鹿児島の大学を卒業後、福岡と横浜の自動車メーカーなどで

研究開発の仕事をしながら12年間県外で生活していたアラカキさん。

「コンビニまで歩いて30分。道は街灯も少なくて薄暗い。楽しいことが見つからない。

正直あまり地元が好きじゃなかった」と当時を振り返ります。

画像提供:アラカキヒロミツ

そんな中、日々パソコンに向かい、時間に追われる生活に疲れを感じ始め、3年前に故郷のうるま市へUターン。

伊計島で毎年開催される「イチハナリアートプロジェクト」に友人が参加することをきっかけに、

アラカキさんもそのサポートで2ヶ月間、伊計島に通いました。

それまでほとんど、地元の島々を訪れたことが無かったアラカキさんですが、

イベントのために毎日海中道路を車で往復するうちに、

改めてその景色に魅了され、うるま市をPRする仕事がしたいと思い始めました。

画像提供:アラカキヒロミツ

その後、趣味のカメラを独学で猛勉強し、写真を通してうるま市の魅力を広めて行きたいとカメラマンに転身。

イチハナリアートプロジェクトで島の人々とも顔見知りになっていたことや、

同じようにうるま市のPR活動に取り組む人達とも交流を深めていたことから、

伊計島の古民家が空いている話が舞い込みます。

お客さんを島に呼び、島を知ってもらおうとスタジオを開設、住まいも移しました。

画像提供:アラカキヒロミツ

画像提供:アラカキヒロミツ

現在は島嶼地域をはじめ、勝連城跡や海中道路など、うるま市内を舞台としたフォトウエディングを中心に活動しています。

なかでも好評なのが「星空ナイトウェディング」。

 

「田舎は見どころが少ないのがデメリットと思われがち。でも田舎だからこそ見えるものもたくさんあるんです。

周囲に灯が少ないため、星空の美しさは何もない田舎で味わえる醍醐味のひとつ」

と見せてくれた写真は、一枚一枚が鮮明に記憶に残る美しさ。

島の景色を大切にしているアラカキさんの思いが伝わるものばかりです。

画像提供:アラカキヒロミツ

また、移住して大変だったことを伺うと、「ほぼ毎日来るおじいの晩酌の誘いを断ること」とはにかみ、

「僕も仕事があるのでダメな時はダメと伝えて、気を遣ってではなく、

バランスよくお互いの距離感を保っていくことは大切ですね」と島での生活の秘訣を教えてくれました。

 

海人(漁師)のおじいが船を出すので釣りに連れて行ってもらったり、

島の人とお酒を酌み交わしたり…と、島での生活も楽しんでいる様子。

画像提供:アラカキヒロミツ

画像提供:アラカキヒロミツ

うるま市に戻り、島に住み始めて感じたことは、「人との繋がり」だと話すアラカキさん。

「周りの人がとても協力的で自分のために動いてくれていることが分かる。だからもちろん自分も動く。

その積み重ねが繋がりを強くしていくので、繋がりの大切さを感じます」と感慨深げ。

今後は写真だけではなく、島嶼地域をはじめ、うるま市内の様々な魅力を交えた撮影プランを考案中だとか。

アラカキさんプロデュースの、うるま市への思いがたっぷり詰まったプランに期待が高まります。

「とにかく一度来て、知ってほしい。それがきっかけになってこの場所の魅力が広がってくれれば嬉しい」と話すアラカキさん。

“訪れることで何かが変わる”そんなきっかけに溢れる場所へ出掛けてみてください。

また見たくなる風景、会いたくなる人々、ずっといたいと思える場所、うるま市と周辺の島々には、ここにしかない出会いがたくさん待っています。

 

 

人と人との繋がりと故郷への思いから誕生した「小さな島のフォトスタジオ」

小さな島のフォトスタジオ

所在地/沖縄県うるま市与那城伊計73番地

電話/090-5938-3857

小さな島のフォトスタジオ Facebook

掲載日 2017年11月2日