「パタン」「トントン」「シャー」

「パタン」「トントン」「シャー」…

うるま市屋慶名(やけな)の住宅街に規則的な心地良い音が響き渡ります。

音の発信源は「蘭からふ工房」。

うるま市特産のビーグ(い草)を使用した全国的にもめずらしい織物のほか

着物帯やタペストリーなど木綿織を中心に手織りで製作、販売している織物工房です。

工房に並ぶ昔ながらの木製の織り機。

「パタン」「トントン」「シャー」という機織り音が室内に響きます。

人と木が奏でる楽しげで温かい音色は、聴く人の心をほんわかとさせてくれます。

平成9年に、機織り工芸を普及させようと行われた研修で

技術を習得された人たちがこの工房を立ち上げました。

研修をきっかけに織物の世界に飛び込んだ人がほとんどというから驚きです。

20年余り経った今、皆さん、ベテランの機織り職人となり活躍されています。

ここで少し、「織物」の説明を。

まず、糸を染色し乾かす作業から始まります。

毛羽立ちを防ぐため糊付けした糸を木枠に巻き、デザイン通りに経て糸を並べていきます。

その後並べた経て糸を、機織り機にセッティング。

ここでやっと機織りの準備が整います。これだけでも約1週間かかるそう。

全てが手作業の機織りは、とにかく根気のいる作業です。

準備が整い、いよいよ織りはじめます。

急がず、慌てず、慎重に全身を使って、よんなーよんなー(沖縄の言葉でゆっくりゆっくり)織ることで

愛情がこもり、手織りならではの温かみのある仕上がりに。

竹串を使って糸を浮かせ模様を作る「グーシハナウイ(竹串の花織)」という技法で

花の模様を一つひとつ作ってゆきます。

織り手によって、それぞれの個性やセンスが現われるので、

ひとつひとつ表情が異なるのも手織りならではの魅力。

個性溢れる作品の中から、お気に入りのオンリーワンを探してみてください。

現在は着物帯とビーグを使った織物の制作が中心。

「グーシハナウイ」の帯は全て模様が違う手作りの一点ものです。

人気が高く、県外から注文が入ることも多いそう。

うるま市の織物が日本全国に広がっているんですね!

工房名の「蘭からふ」とは「蘭から布を作る」という意味。

工房ができた当時は、蘭(デンファレ)の繊維を使った蘭布を作っていましたが

制作に大変な時間と労力がかかり、高価な品となることから、段々と需要も少なくなってきたそうです。

残念ながら現在は蘭布の制作は行っていませんが、

工房では当時織られた貴重な蘭布見ることができ、スタッフの皆さんから苦労話を聞くことも出来ます。

蘭布の生産に変わって登場したのが、うるま市の特産品「ビーグ」を使用した織物です。

乾燥させた固いビーグを織り込むことで、柔らかい織物がしっかりときれいな形を保ち丈夫になります。

現在はうるま市の推奨品として市内各地で販売され、観光客の方からも人気を集めています。

こちらはビーグを織り込んだ、カードケースとコースター。

色鮮やかで温もりのある作品が並んでいます。

屋慶名の街角で機織り音が聴こえてきたら、ちょっと覗いてみて下さい。

機織りの技術を後世に残そうとする織り手の皆さんと

想いが詰まった素敵な作品の数々が待っています。

うるま市産の織物の魅力に触れてみませんか? 蘭からふ工房

蘭からふ工房

所在地/うるま市与那城屋慶名2241-3

電話・FAX/098-978-3276

営業時間/月曜日~金曜日10:00~17:00

http://rankarafuokinawa.ti-da.net/