周囲を青く美しい海に囲まれ、集落にはフクギ並木と赤瓦の古民家。

沖縄の古式ゆかしい風景が至る所に残る「うるま市伊計島」。

島とはいえ橋でつながっているため、

那覇から車で約1時間半で訪れることができます。

透明度の高い天然ビーチや、サトウキビ畑…

手付かずの自然が残っているのもこの島の魅力です。

その一方、就業機会の不足などから島を離れる人が増えてきているのも事実。

人口減少とそれに伴う空き家の活用や移住促進に取り組む事業として

4~7泊の試住体験ができる「島の家プロジェクト」が昨年12月から行われ

全国から集まった家族や友人同士の全7組が伊計島で古民家暮らしを味わいました。

時代の流れを感じさせる築100年の沖縄式古民家。

ここに4日間滞在したのが東京在住の平原晶(ひらはらあきら)さんと五十嵐美香(いがらしみか)さん。

今回試住体験をするお二人は東京で同じ百貨店に勤務する同僚。

そこで毎年開催される沖縄物産店がきっかけとなり

沖縄の人、食、伝統文化、あらゆる部分に惹かれ沖縄好きに。

沖縄は仕事でもプライベートでも今まで何回来たかわからないと話すほど沖縄通のふたりですが、

今まではホテルや安宿に滞在することがほとんどで

今回のように「泊まる」よりは「暮らす」に近い体験は初めてだとか。

「滞在中は毎朝目覚ましじゃなくて鳥の声で起きて

少し歩くとすぐ海で、朝陽が昇って散歩して、

とても気持ちが良いです」と五十嵐さん。

平原さんは「この辺は、夕陽が沈む西海岸側のリゾート感とはまた違う、島ならではの雰囲気が広がっていて。

農作業していたり、もずくを摂っていたり、生活感があって

昇る朝日と共にパワーを得られるような東側が好きなんですよ。

なので沖縄に来るといつもこの辺、うるま市とか、中部にばかりいます。

中部が好きです。“ちゅーばー”なんです! 」と笑顔を見せます。

日中は「勝連城跡」を散策し、うるまのソウルフード「丸一食品のいなりとチキン」

夜は鍋持参で「おでんいこい」へ出向きおでんを調達しオリオンビールで一杯。

うるまの押さえるべきところはすべてチェック済み!

さすが“ちゅーばー”のお二人。

こちらは島の試住プロジェクトを運営する

プロモーションうるまのスタッフの石川ゆうこさん。

二人の滞在期間中はもちろん、今後移住を決めた際、

仕事や住居などあらゆる面でサポートしてくれます。

石川さんは名護市出身で、高校卒業後12年間福岡県で生活。

伊計島に移住して4年目を迎える、島の先輩移住者。

福岡での生活は、多忙な日々の連続で、心身ともに疲れ切ってしまっていたそう。

そんな中、毎年伊計島で開催しているイチハナリアートプロジェクトのお手伝いを友人から依頼され、一か月だけ島に滞在。

島の人々と触れ合っているうちに石川さんは心が浄化されていくことに気付きました。

それまで疲れた心と身体を癒そうと、あらゆる手段に時間とお金を費やしても一向に改善の兆しが見えなかったのに、

島での滞在でみるみる元気になっていく石川さん。その後、移住を決意。

「元気になった理由ははっきりとわかりませんが、

いまも自分を引き止めてくれているものは“島の魅力”なんです」と話してくれました。

「島の人たちはそこまで過干渉ではなくて、困ったときにはもちろん助けてくれるし、

夜中にゴキブリが出た時には助けに来てくれて (笑)。

でもほど良く放っておいてもくれるので不安がありませんでした。

人と人との距離は目に見えないけれど居心地のいい距離感を保ってくれるのが伊計島の人達。人と仕事に恵まれて今があります」

と笑顔。石川さんの移住話に平原さんと五十嵐さんも興味津々のようです。

「東京では自宅と会社を行き来する生活が中心。

1日中デスクワークだったり、外に出られなかったり…。

家では“今日満月なんだ”と思って窓を開けたらすぐマンションで月も見えません」(平原さん)

「隣に誰が住んでいるのかもわからず、職場や身の回りで、心を病んでしまう人もいたり…。

そんな中、沖縄に来ることで心のバランスを取っています。

旅行の前は“もうすぐ沖縄だから!”と自分に言い聞かせて仕事を頑張っています!」(五十嵐さん)

「島では空が高くて、星がきれいで、散歩していたらパパイヤがなっていて、

ヤギに出会って、東京にはない風景がここでは日常。

のんびりした暮らしに対するあこがれはあります」と話す二人。

「“一生ここに住むぞとか、絶対移住する!”と構えなくてもいいと思います。

それは島の人も一緒で、お互いちょっと様子は見たい。

きれいごとばかりではないので、もしかしたら住んでみて“考えていたのと違う”と思うこともあるだろうし、

たくさんの意見を集めて今後に活かしていくことも試住体験の課題のひとつなんです」

と石川さんは答えます。

受け入れた方の中には、移住を決意された方、

都会から来て実際の生活の便利さに改めて気付かされた方とその気付きは十人十色。

ですが、来て何もなく帰る人たちはおらず、みなさん何かを発見して帰って行きます。

ちょっと来てみる、それだけでも大きな人生の分岐点になるのかもしれませんね。

「4日間しっかり放電して、たっぷり充電できました。次は梅雨明けしたころに来たい!」と話す平原さんと五十嵐さん。

そして「試住では貴重な体験ができました。思っていた以上にひとり暮らしのお年寄りも多い。

旅行では見えない部分も見えて、そこも踏まえて今後沖縄で生活することも考えています」と話してくれました。

自然、気候、食、人、時間の流れ方、島の魅力の感じ方は人それぞれ。

でも伊計島は一度来たら必ず戻ってきたくなる場所。

みなさんも一度訪れて、島時間を過ごしてみて下さい。

何か大きな人生のヒントを得られるかもしれません。

「試住」を通して見る“島の暮らし”と“日々の暮らし”。そこで発見したものとは?

沖縄県うるま市「島の家プロジェクト」

(現在募集は終了しております)

http://uruma-people.com/

一般社団法人 プロモーションうるま

住所/沖縄県うるま市田場1304-1 1F

電話/098-923-5995

http://www.promo-uruma.com/

掲載日 2017年3月3日