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海中道路を渡った先にある宮城島は、

周辺の島々が見渡せるほどの高い地形から、

“たかはなり”(高離島)と称されています。

島には宮城区、上原区、池味区、桃原(とうばる)区の4つの集落があり、

かつて学校の運動会では、4つの地区が集まって賑やかに行われていました。

しかし学校が周辺離島との統廃合によって廃校となってからは、

島全体で盛り上がる行事がなくなってしまいました。

そんな中、もう一度、4つの地区を結ぶイベントを実施しよう!と、

それぞれの地区が一致団結して開催されたのが「たかはなり・島あしび」です。

宮城島の島人たちの想い、

そして、その想いに寄り添う人々が織り成すお祭りを、ちょっと覗いてみましょう。

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お祭りは、集落の通りでエイサーを行う「道ジュネー」から始まりました。

静かな集落に、三線(さんしん)と太鼓の音色が響きます。

今回の道ジュネーには、

東京で活動しているエイサー団体が演舞を披露。

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東京・練馬区や西東京市で活動している「上石神井琉球エイサー会」の皆さん。

大人から子どもまでが、

大太鼓、締め太鼓、パーランクー(手持ち太鼓)を力強く叩きます。

鮮やかな黄色の絣を身にまとった女踊りは、

沖縄の楽器である四竹(よつだけ)を手に持ち、三線と太鼓の音色に重ねます。

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いよいよメイン会場となる旧宮城中学校の運動場では、

特設ステージで各地区の芸能がスタートです。

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男性がハットを被ってお茶目に踊る池味区の「茶売り節」をはじめ、

桃原区の豊年口説や各舞踊団体の踊りなど、

地域に伝わる芸能が繰り広げられました。

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その中で、大きな注目を集めた「宮城ウシデーク保存会」。

“ウシデーク”とは、主に豊年祈願をする女性だけの踊りのこと。

宮城区に伝わる「宮城ウシデーク」は、

およそ400年前から女性が世代を越えて受け継いできました。

一度、沖縄戦で途絶えましたが、昭和23年頃に復活。

その後、平成7年に保存会が発足し、今でも継承しています。

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三線や琴などの楽器はなく、

会場に響くのは、おばあさんの伸びやかな唄声と、

リズムをとる太鼓の音のみ。

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唄や踊りの振り付けには、

恋物語や結婚、姑との関係など女性ならではの内容が表現されています。

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赤い花は好きな人へ渡し、白い花は養子に出した我が子へ渡す。

渡した後、去りながらも名残惜しそうに何度も振り返り、

その花を愛おしく見つめ、また去る…。

とても切ないながらも、女性のしなやかさと優しさが感じられる踊りです。

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陽が沈み、空が淡い藍色へと変化した夕刻時に登場したのが、

数十年ぶりに復活した「上原エイサー保存会」。

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人口減少によって途絶えていた上原のエイサー。

そんな状況を危ぶんだ、地域の20代の若者6名が、

「上原のエイサーを、このまま途絶えさせていてはいけない」と一念発起。

年配者からその振り付けや唄を習い、復活させました。

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5歳から70歳の幅広い年齢層の総勢20名が、

大太鼓、パーランクー、女踊りの構成で、

力強い掛け声とともに、円型から二列へと隊形に変化をつけながら演じます。

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保存会会長の森屋さんは、

「練習で互いがぶつかり合うなど切磋琢磨しながら、復活を目指しました。

まずは、2年、3年…と続けていき、いずれは、上原のエイサーを有名にしたい」と、

今後の展望を熱く語ってくれました。

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広い会場は、いつの間にか多くのお客さんで埋め尽くされ、

演舞場に注目が集まります。

宮城島の伝統芸能以外にも、

大学生のエイサー団体「琉球風車」や東京・世田谷区で活動している「美ら星エイサー」など、

市外県外から複数のエイサー団体が応援に駆けつけました。

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元気いっぱいで迫力あるエイサーに、

会場の熱気はさらに高まります。

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そして、トリを務める「宮城青年会」が登場。

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これまで地方(じかた=演奏する人)が途絶え、

30年前の音源をずっと使用していたという宮城のエイサー。

しかし今年、古いCDから音階を聴き起こし、

さらに、宮城地区の年配の方々から昔の話を聞いて、改めて楽譜を制作。

大勢の観客の前でエイサーを披露するのは初めてですが、

苦労して復活させた楽譜で地方が演奏するとともに、

躍動感あふれるエイサーを魅せてくれました。

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「それぞれ個性を持つ4つの地区を一つにまとめるのに苦労しました」と語るのは、

実行委員長の名護徹(宮城自治会長)さん。

各地区の実行委員みんなで協議を重ねてきたそうです。

「今後は体制を整えて、自分たちの歩む速度で進めていき、

地域コミュニティの活性化につなげていきたい」と意気込みます。

また、うるま市を訪れる観光客の皆さんへは、

「宮城島は先々の島への通り道という方も多いと思いますが、

島には、景観の良い場所もありますので、

チョコっと足をのばしてくれたら、嬉しいです」と、

ちょっと控えめにコメント。

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フィナーレは、沖縄のお祭りにかかせない踊り「カチャーシー」。

ずっと客席で演舞を観覧していたお客さんも演舞場に集まって、

みんなで一緒に踊ります。

島外から来たという女性グループは、

「すごい楽しかった!」「こんなに人が多くて賑わっていてビックリです!」と、

胸が高ぶった様子でした。

“たかはなり”の島が

今まで以上に大きな輝きをみせた「たかはなり・島あしび」。

これからも、ここ宮城島に多くの人が集い、島人と出会い、

素敵な“みやぎ時間”を過ごすことでしょう。

島がにぎわう一夜限りのお祭り「たかはなり・島あしび」

たかはなり・島あしび

会場/うるま市旧宮城中学校

電話/098-923-5995(一般社団法人 プロモーションうるま)

https://www.facebook.com/takahanari/

掲載日 2016年9月23日